思い出の中

今もいつかは思い出の中。

3人で並んで働いていたこと

「私たち、1年後はどこにいるんでしょうね。」

去年の3月だった。

会社の移転に伴い、次の仕事を探していたYさんと私。

とりあえず契約満了まで残ると言っていたWさん。

どこにいるんでしょうね、と言いながら、

どこか他人事のように笑っていた。

 

私たち3人は営業事務だった。

Yさんはパート、Wさんは派遣社員、私は社員だった。

年齢も、性格も、見た目も…何もかもが違う3人だったけれど、

何だか一体感があった。

私は2人のことが大好きで、とても信用していた。

2人は仕事において絶対に“ずる”をしなかった。

 

「私たち、1年後はどこにいるんでしょうね。」と言った数日後にYさんは次の勤め先が決まり、

その一か月後に私も決まった。

最後に残ったWさんは…それから色々なことがあったようで、私が退職して半年も経たないうちに突然契約満了となった。

 

仕事以外に共通点のなかった私たちは、それから全く会っていない。

連絡も取っていない。

たまにLINEのアイコンが変わったことに気付くくらいだ。

 

今は会社も移転し、3人で並んだあの景色はもう思い出の中にしかない。

あんなにも当たり前に目の前にあった日々が、あっという間に消え去ってしまった。

でも、思い出すたび、楽しかったな、と思う。

それだけでいいのかもしれない。